1. ライトカーテンとは
セーフティライトカーテンとは、安全対策用に設計された光電子センサの一種で、作業者が機械の危険エリアに誤って侵入することを防止するために使用されます。複数の赤外線ビームが平行に配置され、それらを検出することで物体の通過や接近を感知します。たとえばプレス機やロボットアームのような自動機械の周辺に設置され、作業者の手や体が危険領域に入ったことを瞬時に検知し、機械の動作を即座に停止させます。
ライトカーテンは、従来の物理的な安全柵やスイッチに比べて柔軟性が高く、省スペースで設置できるという利点があります。また、視認性が高く、作業性を損なわずに安全を確保できるため、多くの製造現場で導入されています。
2. 光電センサとの違い
ライトカーテンは一見すると光電センサと似ていますが、機能や目的において大きな違いがあります。光電センサは主に「物体の有無」や「位置検出」を目的として使用されるのに対し、ライトカーテンは「人の侵入検知」や「安全の確保」を目的とした装置です。
具体的には、光電センサは単一の光軸で検出を行うのに対し、ライトカーテンは数十本以上の赤外線ビームを並列に照射しており、人体の一部(指、手、腕など)を高精度で検出できます。また、ライトカーテンは安全認証(ISO 13849-1、IEC 61496など)を取得しており、安全機器としての規格を満たしている点も大きな違いです。
ライトカーテンは、内部故障などの発生時においても本体とセーフティコントローラの組み合わせにより常に安全側に働くように設計されています。
3. ライトカーテンが必要な理由
製造業をはじめとする多くの現場では、自動化機械や大型設備の使用により、作業者が重大な労働災害に巻き込まれるリスクがあります。特にプレス機や搬送装置などでは、誤って作業者の手や体が動作中の機械に触れると、取り返しのつかない事故につながります。
こうした事故を未然に防ぐために、ライトカーテンは非常に有効です。侵入を即時に感知し、制御装置に信号を送り機械を停止させることで、作業者の安全を守ります。また、リスクアセスメントや法令(労働安全衛生法など)においても、安全装置の設置が義務付けられていることがあり、ライトカーテンはその要件を満たすためにも重要です。
4. 代表的な使用例
ライトカーテンは以下のような場面でよく使用されます。
- プレス機:作業者の手や指が金型に挟まれるのを防ぐため、機械の前面に設置。
- ロボットセル:産業用ロボットの稼働エリア周辺に設置し、人の侵入を検知。
- 搬送ライン:ベルトコンベアや仕分け装置の危険エリアで、人や異物の侵入を防止。
- 組立工程:協働作業エリアで、人と機械が安全に共存できるように設置。
- 自動扉やリフト:人や物体の検知によって、安全な開閉動作を制御。
使用環境に応じて検出精度(フィンガータイプ、ハンドタイプ、アームタイプなど)や設置距離、耐環境性能(防塵・防水)などを選定する必要があります。


5. 主要メーカー
セーフティライトカーテンを製造・販売している主なメーカーには以下のような企業があります。
- KEYENCE(キーエンス):高性能で多機能なモデルが多く、視認性と使いやすさが特徴。
主要型式:GL-R,GL-V,SL-V - OMRON(オムロン):日本国内でのシェアが高く、安全規格に準拠した幅広い製品群を展開。
主要型式:F3SG,F3SJ - SICK(ジック):ドイツの老舗メーカーで、セーフティ分野におけるグローバルリーダー。
- Panasonic(パナソニック):堅牢な設計と高信頼性で、工場自動化全体との親和性が高い。
主要型式:SF4D,SF4B - Banner Engineering(バナーエンジニアリング):アメリカのメーカーで、柔軟なカスタマイズ性が特長。
各メーカーは用途に応じたモデルを取り揃えており、設置場所や必要な検出レベルに応じて選定することが重要です。
6. まとめ
セーフティライトカーテンは、現代の製造現場や自動化ラインにおいて、作業者の安全を守るために欠かせない存在です。光電センサとは異なり、安全規格に準拠し、人の侵入を高精度かつ迅速に検出できるため、機械との共存作業を安全に行うための有力な手段となっています。
事故を未然に防ぐためには、単にライトカーテンを設置するだけでなく、正しい位置への取り付けや定期的な動作確認、安全回路との適切な接続も不可欠です。技術の進化と共により使いやすく高性能な製品も登場しており、これからのスマートファクトリーにもますます重要な役割を果たしていくことでしょう。
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