【サーボモーター基礎】パルス列制御とEtherCAT制御の違い

1. サーボ制御の基本構造

サーボモーターは、どの通信方式でも内部構造は基本的に同じです。

内部では以下の制御が実行されています。

位置制御(Position Loop)
   ↓
速度制御(Speed Loop)
   ↓
電流制御(Current Loop)
   ↓
PWM制御(Pulse Width Modulation)でモーター駆動

最終的には「電流(=トルク)」を制御してモーターを動かします。
違いが出るのは PLCからドライバへどう指令を渡すか の部分です。


2. パルス列制御とは

■ 基本原理

パルス列制御は非常にシンプルです。

項目どのように表現するか
移動量パルスの総数
速度パルスの周期(周波数)
方向CW/CCW信号

例)
1mm = 1000パルス
1000mm移動 → 1,000,000パルス出力

速度はパルスの出るテンポで決まります。


■ 特徴

メリット

  • 構成がシンプル
  • 小規模設備では十分
  • コストが比較的安い

デメリット

  • ノイズでパルスが欠ける可能性
    上の例での1000mm移動に対して、1000パルス欠損し、999,000パルスとなると、移動量が1mmずれてしまいます。
    高精度な位置決めが求められる箇所には不向きです。
  • 多軸になると配線が爆増
    1軸あたり約7〜10本の信号線が必要です。複数軸になると非常に手間がかかります。
  • フィードバックが限定的
  • 高速になると信号劣化

3. EtherCAT制御とは

EtherCATは、パルスではなく数値データを高速通信する方式です。
詳しくはこちらの記事を参照ください。

■ 何を送っているか?

PLC → ドライバ = PDO(Process Data Objects)通信

  • 目標位置
  • 目標速度
  • 目標トルク
  • サーボON/OFF
  • モード情報

ドライバ → PLC

  • 現在位置
  • 現在速度
  • トルク(負荷率)
  • アラーム内容
  • 状態情報

すべて“数値データ”でやり取りします。


■ 最大の違い

パルス列:1000mm → 1,000,000回のON/OFF信号

EtherCAT:1000mm → 「1000」という数値を通信

パルス抜けという概念が存在しません。


■ 多軸配線

LANケーブルで数珠つなぎ可能。

PLC → サーボ1 → サーボ2 → サーボ3

10軸でも20軸でも配線はシンプル。


4. フィードバックが重要な理由

EtherCAT通信であればあらゆるフィードバック情報が収集できます。
単軸だけなら、完了信号やアラーム信号程度でも成立します。

しかし装置単位で考えた場合にはフィードバック情報は非常に重要な意味を持ちます。

■ なぜ必要か?

① 工程同期

他の軸、コンベア、ロボットとの同期を行うため、サーボモータの現在位置をフィードバックします。

② 品質管理

モーターのトルク監視を行うことで、詰まりや異物噛み込みなどを管理することができます。

③ 予知保全

負荷増加から摩耗を検知します。

④ 安全制御

異常時の即停止・復帰制御が可能です。

装置の「司令塔」はPLCなので、サーボの状態を常に把握する必要があります。


5. ポジション出力とは

ポジション出力はサーボ → PLCへ位置をパルスで返す機能

パルス列制御時代の“逆方向パルス”です。

現在はEtherCATで数値取得できるため、使用頻度は減っています。


6. オープンコレクタとラインドライバ

パルス列出力には以下2点の出力方式があります。

■ オープンコレクタ

  • 電圧を自分で出さない
  • 低速向き
  • 波形がなまりやすい
  • ノイズに弱い

■ ラインドライバ(差動)

  • A/A̅など2本1組
  • 高速対応(MHz級)
  • ノイズに非常に強い
  • サーボ用途では主流

サーボ制御では基本的にラインドライバが推奨されます。


7. まとめ

項目パルス列EtherCAT
指令方式パルス数数値通信
速度表現パルス周期数値
ノイズ耐性弱い非常に強い
多軸配線手間数珠つなぎ
フィードバック限定的豊富
適用単軸・簡易機多軸・高精度装置

結論

単軸の簡易メカ → パルス列でも十分ですが、多軸や高精度位置決めが必要な場合にはEtherCATが圧倒的有利です。
欧州メーカーのPLCにはEtherCATポート内蔵が浸透しており、近年ではキーエンスKV-Xシリーズや、オムロンNXシリーズなど、国内メーカーのPLCにも採用されつつあるので、ぜひ一度お試しください!

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