― EtherNet/IPとの関係も整理 ―
PLC通信や産業用ネットワークを学び始めると、
- TCP/IP
- UDP/IP
- EtherNet/IP
といった言葉が出てきます。
そして多くの人がこう疑問に思います。
TCPとUDPは何が違うの?
EtherNet/IPはどっちなの?
この記事では、TCPとUDPの違いを初心者向けにやさしく解説し、FA現場での使い分け、さらにEtherNet/IPとの関係まで整理します。
1. TCPとUDPは「送り方」の違い
TCPとUDPは、
データの送り方を決めるルール
です。
IPが「住所」だとすると、
- TCP/UDP → 荷物の送り方
- Ethernet → ケーブル(道路)
という関係になります。
2. まずはイメージで理解する
■ TCPは「書留郵便」
- 届いたか確認する
- 届かなければ再送する
- 順番を保証する
- 少し遅い
つまり、
確実性重視
の通信方式です。
■ UDPは「普通郵便」
- とにかく速い
- 届いたか確認しない
- 再送しない
- 順番保証もしない
つまり、
スピード重視
の通信方式です。
3. 技術的な違い
少しだけ踏み込みます。
TCPの特徴
- コネクション型通信
- 通信前に接続確立(3ウェイハンドシェイク)
- 再送制御あり
- 順序保証あり
- フロー制御あり
UDPの特徴
- コネクションレス型
- 再送なし
- 順序保証なし
- ヘッダが小さく高速
4. なぜ2種類あるのか?
答えは用途が違うからです。
例えば:
- ファイル転送 → 1ビットでも欠けたら困る
- 音声通話 → 多少欠けても止まらない方が重要
産業用通信でも同じです。
5. FA現場での使い分け
ここが最重要ポイントです。
■ TCPが使われる場面
- PLCのパラメータ設定
- 上位PCとの通信
- 生産実績収集
- データロギング
- MODBUS/TCP通信
例えば、
- 三菱電機 のMCプロトコル(TCP版)
- オムロン のFINS(TCP版)
- MODBUS/TCP
これらは「確実に届くこと」が重要です。
■ UDPが使われる場面
- リアルタイムI/O通信
- 周期制御通信
- 高速データ交換
ここでは、
今この瞬間のデータ
が重要です。
再送待ちによる遅延の方が問題になります。
6. EtherNet/IPはTCP?UDP?
ここがよくある疑問です。
EtherNet/IPは、
ODVA
が管理する産業用ネットワーク規格です。
結論は、
EtherNet/IPはTCPもUDPも使います。
■ I/O通信(Implicit Messaging) → UDP
- PLCとリモートI/O間の周期通信
- リアルタイム制御
→ UDPを使用
理由:
- 低遅延
- 再送不要
- 常に最新データが重要
■ 明示的メッセージ通信(Explicit Messaging) → TCP
- パラメータ設定
- 機器情報読出し
- 属性取得
→ TCPを使用
理由:
- 確実性重視
- 順序保証が必要
7. よくある誤解
❌ TCPの方が高性能
→ 用途が違うだけ
❌ UDPは不安定
→ 設計次第で安定動作
❌ EtherNet/IPはTCP通信
→ I/O通信はUDP
8. まとめ表
| 項目 | TCP | UDP |
|---|---|---|
| 確実性 | 高い | 低い |
| 速度 | やや遅い | 速い |
| 再送 | あり | なし |
| 主な用途 | 設定・読書き | リアルタイム制御 |
9. 通信を理解するコツ
通信を理解するには、
- 物理層(Ethernet)
- 送り方(TCP/UDP)
- アプリケーション(MC、FINS、MODBUS、EtherNet/IP)
この順で分けて考えることが重要です。
10. 結論
TCPとUDPの違いは、
「届いたことを確認するかどうか」
です。
FA現場では、
- 設定・ログ収集 → TCP
- リアルタイムI/O → UDP
そしてEtherNet/IPは、
用途に応じてTCPとUDPを使い分ける規格
です。
通信の仕組みを「道路」「送り方」「会話ルール」に分けて考えられるようになると、FA通信は一気に理解しやすくなります。

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